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コイデマサヒロ
BlokasLabs社のpisoundを購入してみました。これを使ってラズパイ(Raspberry Pi3)を単体のマルチエフェクター&音源マシンにしてしまおうというチャレンジです。
pisoundとは?
オーディオ(2in/2out)/MIDI(1in/1out)のインタフェースです。
Raspberry Piとの接続方式は、オーディオはI2Sで、MIDIはUARTではなくSPI接続です。さらにユーザーボタンと入力ゲイン、出力のボリュームがついています。またソフトウェア側のサポートも充実しています。以前紹介したAudioInjectorよりは多機能です。(どちらが良いかは用途によると思います。)
pisoundのユーザーボタンは主にアプリケーションを起動するショートカットボタンとして使うことが想定されていますが、スクリプトなども用意されているため自分で機能を割り当てることも可能です。またWifiはアクセスポイントとして使えるようにセットアップされるため、例えばどこでもスマホやPCとアドホックに接続できるようになるので、ネットワーク環境が無い場所でもスマホやPCから直接ラズパイと接続することができます。これはライブなどでは有効ですね。そのほかドライバー類をインストールすると有用なツールもインストールされます。
今回はこのpisound用に提供されているMODEPというソフトウェア(プラグイン環境?)を構築してみます。これを使えばRaspberry Piをマルチエフェクターあるいはマルチ音源のように使うことができます。
MODEPとは?
百聞は一見にしかず。MODEPの画面はこんな感じです。
見たとおりモジュラー方式のプラグイン環境です。シンセ系ではなくてギターのコンパクトエフェクターを並べた感じです。弊社からリリースしているconsoleというソフトウェアと似たようなコンセプトです。中で動くモジュールはLV2 というLinuxではデフォルトといえるプラグイン形式です。また見て分かる通りこの画面はブラウザ上で動きます。ラズパイをパソコンやスマホと接続しそちらで編集画面を表示します。
MODEPは元々は、http://moddevices.com/ のMOD Duoというデバイス用の環境です。MOD DuoはAllWinner製のARMのSoCが載ってLinuxで動いているようです。なるほどRaspberry Piで動くようにするのもそれほど難しくないでしょう。
そもそもMODEPはMOD Emulator for pisoundという名前でありpisoundと合わせて動くようにしたMODということのようです。
MODEPはオーディオ周りはJackを利用し、MIDIはALSAとWifi MIDI(!)に対応しています。ホストはMODオリジナルです。エディタ(GUI)はブラウザ上で動きます。
ホスト内部で動くプラグインはLV2ですが、MOD独自の拡張規格となっています。これはLV2のGUIもブラウザで表示できるようにしたものです。HTMLベースでデザインを設定するようになっています。この規格自体はオープンですので、自分で作ることもできそうです。コア部分とGUIが分離した形になっているようですが、既存のプラグインをMOD上で動かそうとしたらプラグイン本体にも手をいれる必要はあるかもしれません。
MODEPでもMODのLV2を流用しています。ただし、全てが移植されているわけはなくMODEPでは使えないものもあるようです。MODEPで使えるようにするチャレンジはpisoundユーザーの間でも行われていますので今後も増えていくでしょう。
MODEPはいわばプラットフォームですが、アプリケーションですので、その下でOSが動いています。これはRaspbianです。MODEPのGUIはブラウザベースですのでRaspbian側はヘッドレス動作を前提としています。その方が余計な負荷も無いのでラズパイのマシンパワーを有効に使えます。
MODEPの詳しい使い方は、MODのWikiなどが役に立つでしょう。
https://wiki.moddevices.com/wiki/Main_Page
次回予告
ラズパイ+Pisound+MODEPでかなりなところまでできそうです。拡張性もありますし、ラズパイ+pisoundで簡潔できるのもお手軽です。音楽制作や実際のライブでも使えそうです。
次回では実際にpisoundとMODEPをセットアップしてみます。
コイデマサヒロ
ディレクター、プロデューサー、ギタリスト。mimiCopyをはじめ弊社リリースの全てソフトウェア製品の企画を担当。ネイティブアプリ開発がメインでOS問わず対応可。dubバンドのギタリストとしても活動中。