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コイデマサヒロ
前回はpisoundとMODEPを紹介しました。今回はセットアップについてまとめます。開発元が公開している情報に沿えば簡単にセットアップできますが、それだと少し古いRaspbian Jessieです。おそらくJessieの方が安定していると思うのですが、Stretchで動かすためマニュアルセットアップについてまとめます。
OS(Raspbian)の準備
MODEPはヘッドレス運用ですのでRaspbian Liteを使います。
https://www.raspberrypi.org/downloads/raspbian/
から Raspbian Stretch Liteをダウンロードし、SDカードに書き込みます。通常のRaspbianのセットアップですので詳細は割愛します。
※https://github.com/BlokasLabs/pisound-docs/wiki/MODEP
ここでMODEPがインストール済のRaspbianイメージも公開されていますので、まず試してみるならお薦めです。
Raspbian Liteを起動します。ネットワークの接続の設定をし、
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
などで最新の状態にアップデートします。
※ちなみに僕は毎回のネットワークの設定が面倒なのでおもに有線でで接続しています。(wifi to 有線のアダプタもオススメ)
パソコンからsshでラズパイに接続して作業するのが良いですが、ラズパイ+ディスプレイでもセットアップは可能です。
pisoundのセットアップ
ドライバー類のインストールはターミナルで、
$ curl https://blokas.io/pisound/install-pisound.sh | sh
と入れるだけです。必要なドライバやユーティリティがインストールされます。
インストールできたら一旦リブートしておくのが良いでしょう。
$ sudo pisound-config
で設定ツールが起動しますが、デフォルトのままで問題ありません。
pisoundのセットアップについては、
https://blokas.io/pisound/docs/
で公開されていますので一度を通しておきましょう。
MODEPのセットアップ
MODEPのセットアップはかなり時間がかかります。これは随時必要なファイルをダウンロードしたりプラグインをビルドしてインストールするためです。ビルドに必要なライブラリ類も自動的にインストールするようになっていますが、Stretchだと不足しているものがあるので、先に必要なライブラリ類を先にインストールします。
$ sudo apt install python-pip $ pip install pillow $ sudo apt install libtiff5 libopenjp2-7 libjpeg-dev
でインストールできます。
MODEPのセットアップツールをインストールします。これを使って本体のインストールやセットアップを行います。
$ wget https://raw.githubusercontent.com/BlokasLabs/modep/master/install.sh $ chmod +x install.sh $ ./install.sh
最終的に以下のようなMOD Emulator for pisoundという画面が表示されます。
このツールの操作方法はキーボードのみです。ターミナル内の矢印キーで「OneーClick Setup」を選択し「Enter」を押します。
40分以上かかるけど良い?と出ますので「Yes」を選んで「Enter」です。
あとは、そのままひたすら待ちます。必要なソフト類をダウンロードしたりビルドするので時間がかかります。ビルドに失敗してエラーになるプラグインがありますが、そのままスキップするようになっているので、気にせず完了を待ちましょう。
全て完了すると最初の画面に戻ってくるので「Exit」で終了しラズパイを再起動します。
新たに登録されたサービスの終了に時間がかかるようで再起動にも時間がかかりますが、待ちましょう。
再起動してログインしようとするとパスワードが変わっているためログインできません。ユーザー名は「pi」のままですが、新しいパスワードは「blokaslabs」となります。(デフォルトのままだとセキュリティ的に問題があるからということでしょうか)
これでpisoundとMODEPのセットアップは終了です。
MODEPの起動の仕方
MOEDPの本体は複数のサービスとして登録されておりRaspbian起動時に自動起動するようになっています。ラズパイ本体に電源を入れるだけで起動します。ディスプレイやキーボード、マウスは必要なくオーディオやMIDIケーブルを繋げば直ぐに音が出せます。
ただしプラグインやデバイスなどの設定を行うにはパソコンとネットワーク接続する必要があります。OS側を含む細かい設定は、SSHなどでラズパイと接続する必要がありますが、MODEPの設定だけならパソコン側のブラウザでラズパイのIPアドレスを入れれば接続できます。ラズパイ側のWifiがpisooundというアクセスポイントとしてみえるようになる(パスワードは「blokaslabs」)ので、そこに接続すれば、その場合のアドレスは固定となっており、
http://172.24.1.1/
で接続できます。ライブなどではこの接続方法がメインとなると思います。
ブラウザにIPアドレスを入力して
こういう画面が出たら成功です。これはPedalBoardと呼ばれる画面でここでサウンドの設定をうところです。ここでいろいろいろなパッチを作成しておけばMIDIで切替可能ですのでラズパイ本体だけで動作させることができます。このエディタ画面は常に開いておく必要はありません。
またsshでラズパイに接続して、ターミナルで、
MODEP
とするとセットアップ時にも表示された画面が表示されます。ここで動作に必要な各種サービスの状態も表示したり、サービスの再起動など行えますのでうまく動かない場合はここを見てみると良いでしょう。
プラグインは144個インストールされるはずなのですが、一部ビルドに失敗するプラグインがあり、この時点では139個が利用可能です。次はこれもビルドしてインストールしてみます。
ビルドエラーになったプラグインの修正
MODEPのセットアップ時に tap-lv2というシリーズのプラグインがエラーになってビルドに失敗しインストールされません。これは簡単に修正できます。ターミナルでラズパイに入って作業をします。
$ cd /usr/local/modep/src/lv2/tap-lv2 $ nano Makefile.mk
でエディタを起動し6行目の
CFLAGS += -O3 -funroll-loops -ffast-math -fomit-frame-pointer -fstrength-reduce -Wall -Werror -fPIC -DPIC -I../utils
を
CFLAGS += -O3 -funroll-loops -ffast-math -fomit-frame-pointer -fstrength-reduce -Wall -fPIC -DPIC -I../utils
とします。
-Werror
を削除しただけです。
"Ctrl+o"、"Enter"、"Ctrl+X"、"Enter" で上書き保存してエディタを終了します。
そして再度ビルドします。
$ make
正常に終了したのを確認して
$ sudo make install INSTALL_PATH=/usr/local/modep/.lv2
でインストールします。
完了したらラズパイを再起動します。これで144個全てのプラグインが使えるようになります。
沢山のプラグインをビルドしたので不要な中間ファイルがたまった状態になっていますので、不要なファイルを削除しておきましょう。ターミナルで
$ MODEP
でツール起動して、Toolsを選びます。
さらにClear build filesを選びます。
これでかなり空き容量が増えるはずです。
これでマニュアルでのMODEPのセットアップは終了です。
様々なプラグインがありますのでいろいろ試してみましょう。プラグインなどによっては安定度に難があったりしますが、いろいろ使っていれば安定した使い方も見えてくると思います。
既に144個もプラグインがあるわけですが、さらにプラグインを増やす方法もあります。またオーディオデバイスの設定は単純にJackの設定で行っているためpisound以外のオーディオインタフェースも使えそうです。次回はそういったところも試してみたいと思います。
コイデマサヒロ
ディレクター、プロデューサー、ギタリスト。mimiCopyをはじめ弊社リリースの全てソフトウェア製品の企画を担当。ネイティブアプリ開発がメインでOS問わず対応可。dubバンドのギタリストとしても活動中。