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iOSの映像の外部出力(2) - 外部出力環境

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ハダ

iOSの映像の外部出力」シリーズとして、iPadからHDMIなどを経由した外部出力に関する内容の第2回になります。
今回は外部出力する為の方法や、出力に必要なケーブル&コネクタなどについてです。

  1. Appleサンプルから見る基本的な仕組み
  2. 外部出力環境
  3. CCVJ開発における外部出力の問題



2.外部出力の方法

2-1.ケーブルによる外部出力

前回もご紹介した、Apple Lightning Digital AVアダプタApple Lightning - VGAアダプタなどのケーブル接続は一番基本的な出力方法です。

Apple Lightning - Digital AVアダプタ MD826AM/A [asin:B00XU06TKC:image:]

利点

出力の遅延がほぼありません。リアルタイムな動きのある画面表示が必要とされる場合は一番安定しています。
Lightningケーブルであればまだ暫く規格が変更されないと思います。

欠点

外部出力の途中にケーブルが抜けると切断されます。
上で紹介したVGAアダプタは映像のみの出力なので、音声の出力には別途イヤホンジャックから出力する必要があります。

その他

アップル 純正Digital AVアダプタ [MD098ZM/A]
iPad3/iPhone4S以前の場合は、Lightning端子ではなく上のようなDock端子(AppleDockコネクタ)のケーブルを選択する必要があります。
Lightning端子は豊富に選択肢があるのですが、Dock端子は選択肢が減ってきています。古い端末からの出力が必要なら予備を確保しておいた方が安心かもしれません。


[純正品]Apple Lightning - 30ピンアダプタ MD823ZM/A バルク品 音声出力可 [並行輸入品]
Dock接続しかない機器に対して出力する場合、Lightning⇒Dockの変換アダプタを利用するかもしれません。この変換自体には問題がないのですが、著作権保護技術(HDCP)の壁は越えられず、映像出力が出来ない場合があります。


著作権保護の壁
映像出力全般に付いて回るのですが、Apple Lightning - VGAアダプタの場合は、VGA著作権保護技術(HDCP)に対応していないため、出力できないという問題が発生します。
その為、Apple Lightning Digital AVアダプタの方が安心感はあります。iTunesStoreで購入した動画の再生などを考えている場合は、こちらを選択しましょう。


2-2.AirPlayによる外部出力

AppleTVによるAirPlay出力

support.apple.com
AppleTVを持っている必要があるので限られた環境になりますが、遅延も少なく綺麗に見えます。
AppleTVを接続済みのモニターやプロジェクターへ出力となるので、固定された環境で表示する場合には優れていますが、持ち運ぶという点ではAppleTVを持って行く必要があるので難しいものがあります。

2-3.Mac側のアプリによる外部出力

Mac側をレシーバーとしてAirPlayで外部出力するアプリがあります。
iPhone/iPadからAppleTVと同列に選択肢として表示され、選択する形になります。
今回は無料で試せる2つのアプリをご紹介します。

LonelyScreen

LonelyScreenは完全無料のアプリです。

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起動すると外部出力表示用の画面が表示され、AirPlayから接続するとiPhone/iPadの画面が表示されます。
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感想
解像度の設定は無く少し低い解像度、そして遅延が感じられる為に満足いく環境とは言えないようです。
画面は録画して保存する事もできますが、画面上のフリーズが発生します。
また、縦横の回転で少し動作に不具合が見られました。

Reflector 2

Reflector 2 は有料のアプリです。7日間のトライアルがあるので試す事ができます。

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基本的には端末のフレームを表示し、ミラーリング表示をします。

f:id:artteknika_hada:20160418163245p:plain
写真アプリで写真1枚を表示すると、自動的に外部出力用のフレームに切り替わりました。
このフレームの設定は設定画面で切り替える事ができるようです。

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解像度設定ではプリセットから選択するようになっています。

感想
LonelyScreenに比べると遅延が少なく、高解像度でも十分動作しているようでした。
画面を録画して保存する事もできますが、画面上のフリーズが少し発生します。
表示上だけのフリーズで録画したものを再生すれば全フレーム表示されるのを期待しましたが、残念ながら画面上のフリーズ状態のまま録画されています。
iPhone/iPadのゲームの録画に使えるかもと期待したのですが、少し残念な結果でした。

値段
記事を書いている時点での価格は$14.99になっています。
ケーブルなしで簡易に利用できる録画アプリとして使い途があるのでアリな気がします。

外部接続方法のまとめ

基本的にはケーブルによる接続が安定しているのでオススメです。
無線によるAppleTVとMacアプリによるの方法は遅延やフリーズが多少目に付くので、静止画像が主な表示方法で許容できる場合には選択肢としてアリだと思います。

2-4.外部出力のデバッグについて

以上のような外部出力において、ケーブルの接続&切断とケーブルorAirPlayのいずれにおいてもプログラム側は意識する事なく同じ実装で処理されるので、個別の対応は必要ありません。
切断イベントのデバッグで、AirPlayで試した際のイベントのラグと、ケーブルの抜き差しによるラグは少し違うタイミングになる事があったので、開発時のデバッグでは両方の環境を試された方が良さそうでした。


次回はプログラマの視点に立ち戻り、CCVJ開発における外部出力に関する問題について解説します。


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ハダ

iOS/Android/Windows/Macなど各プラットフォームを手がけています。
前職は家庭用ゲームのプログラマでしたが、最近はスマホとPCでばかりゲームしています。

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