M5Stackというプロトタイピング環境がMakerの間で人気です。
ArduinoやRaspberry Piのような基板むき出しのボードでなく、ケースに入ったモジュールでありながら拡張性は失われていないのが特徴です。コアにWifi、Bluetooth機能を搭載したESP32というSOCを使っているためIoT向けな構成となっているうえに、ディスプレイやボタンも搭載されており、プログラミングだけですぐに何かを作れる気軽さも人気の秘密かもしれません。中国・深センのスタートアップにより開発されているのですが、日本の人気がずば抜けて高いそうです。この人気のM5Stackを何回かに分けて取り上げてみます。
M5Stackとは
公式含めM5Stackがどういうものかうまくまとめられている情報がなぜかありません。AliExpressの公式ショップの画像を見るとどんな感じがわかりやすいかもしれません。
公式サイトはこちらです。
http://m5stack.com/
コア部分の回路図も公開されています。
http://m5stack.com/download/M5-Core-Schematic(20171206).pdf
メインの本体はこんな感じです。大きさは5cm四方ですので手のひらサイズです。
TFTディスプレイとボタンが表面にあります。ディスプレイの解像度は320x240です。この手のものとしては一般的な解像度ですが、普通よりは小さいので高精細な印象を受けます。
底面はこんな感じ。
四方にGPIOが用意されているのでそのピン番号、機能名が書かれています。よく見るとわかりますが、向かい合った辺で同じGPIOが出ています。片方にピン番号、他方に機能が書かれています。また対となるポートは片方がピン、ソケットという感じなっていて使い勝手的によく考えられていることがわかります。また裏側四隅には磁石が仕込まれているため金属製のパネルなどにM5Stackをくっつけることができます。
サイドにもいろいろ機能、ポートが用意されています。
赤いのは電源&リセットボタン。充電池で動いているときはダブルクリックで電源OFF。一度押しただけだとリセットです。USB接続されてそちらから給電されている場合は、ダブルクリックで電源オフにはならないのです。これは電源管理チップの仕様のようです。真ん中のソケットはUSBです。USB3ですが、通信方式自体はUSB2です。右側はGroveポートです。下側の横一列になってるのでGPIOポートです。
マイクロSDのソケットです。その下がGPIO&電源関係のピン。ここはI2C、SPI関係のピンです。小さな穴が空いているのですが、これは用途不明です。反対側も空いています。何か通せるようになっているということなのか通気穴なのか...
ここには内部にスピーカーが配置れているのでそのためメッシュに穴が開けられています。下側はGPIOのポートです。GPIOポートの右上あたりに台形型の切り欠きがあるのでここに爪とかマイナスドライバーとか入れて、上部のコアモジュールと下部のボトムモジュールを切り離しやすくするためのものです。細かいところも考えられています。
サイト面の最後。上部です。ここはGPIOポートのみでTELECとかFCCとかの認証のシールが貼られています。元々はこのシールを貼るのではなくて、本体の付属している番号とか用途とかを書き込むシールを貼る場所なんですが...、
せっかくなので内部も見ていきましょう。上記でも少し触れていますがM5Stackはコアモジュールと呼ばれるメインの部分と下の蓋的なボトムモジュールに分かれています。そのメインのコアモジュールはこんな感じです。
ESP32と書いてあるところがESP32関連のパーツがまとめられケーシングされています。一見するとESP-WROOM-32のようなモジュールになっているように見えますが単に金属製のケースがかぶっているだけです。そのうえが3Dアンテナと呼ばれるものです。左側はGPIO等のポートですが、各モジュールとの接続コネクタとしても機能しています。
コアモジュールとボトムモジュールを切り離して並べてみました。
ボトムモジュールはこの基盤の下側に充電池と磁石が仕込まれています。
全体的に良くできていて、細かいところまで注意して作られています。それなりに洗練されたデザインですし。一方で中国性にありがちな実装の甘さなどもあります。金型技術に弱いと言われることもあるとおりジュールを重ねたときのかみ合わせが悪かったりと、微妙な問題もあるようです。僕も必要なネジが付属してなかったり、ディスプレイの中に小さいゴミが入ってたり、SDソケットがボトムモジュールの磁石の影響を受けて、ロックが効かなくなるといったことがありました。ただ現在は国内の代理店もあるので不良があっても対応してもらえるでしょうし安心だと思います。
現在、国内で入手可能なM5Stackのバリエーションやモジュールは、国内代理店であるSwitch Scienceさんのサイトで確認できます。ここにあるもの以外は技適などの問題があるため国内での使用が問題となる場合があるので注意しましょう。
https://switch-science.com/catalog/list/770/
次回は、いろいろあるM5Stackの開発環境についてみていきます。