カムラ
QuickTime for Windowsサポート終了のお知らせ…
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160415_753400.htmlinternet.watch.impress.co.jp
カムラです。
前回の記事で、次回からもDITについて書きます、なんて言っておきながら、早速違う記事を書いてしまいました。ですがタイムリーな話題ですしファイルベースワークフローとしては関連していることなのでお許しください。
QuickTime for Windowsにゼロデイ攻撃のおそれを含む深刻な脆弱性が見つかったが、Appleはこの脆弱性に対する修正は提供しない見込みで、サポート終了とのニュースにちょっとした衝撃をおぼえています。
なにが問題になるの?
日本の映像業界では特にProResコーデックが主要なコンポーネントとして位置づけられているからで、Mac→Windows間はProResでやり取りされることが多く、このときWindowsの制作環境ではQuickTime for Windowsに読み出し機能を依存していることが多いです。
今回の件について、以下のようにAdobe社からもリリースが出ています。
QuickTime Windows版のサポート終了について | Adobe Creative Station
リリースを読むと、Adobe製品ではネイティブでMOV形式のファイルをQuickTimeに依存せず取り扱えるようですが、ProResに関してはQuickTime for Windowsに依存しているようです。
また、DNxHDの書き出しに関しても依存しています(※4/22追記)
他にもざっと調べた感じだと、
Davinci Resolveもwindows版はQuickTime for Windowsが必要でインストール時に要求されます。
QuickTimeを削除すると『QuickTime Decoder initialization failed』 というアラートが表示され、QuickTimeファイルを読み込むことができません。
読み込みにQuickTime for Windowsに依存しているため、初期化失敗のこういった表示がなされるのでしょう。
また、EDIUSではQuickTime ムービー、静止画の取り込みや書き出しにQuickTimeのコンポーネントを使用しており、
Vegasにおいても『QuickTimeファイルを読み書きするには、Apple® QuickTime® 7.1.6 以降が必要』とあります。
Preludeなど他のAdobe製品でも『QuickTime 機能を利用するには QuickTime 7.6.6 ソフトウェアが必要』となっているものがあります。要注意です。
ProResの読み込み問題以外でも、上記のリリースにもありましたがAfterEffectsなどアニメーション圧縮においてQuickTimeに依存しているため、まだ必要といえます。
ざっくりとまとめてみるとこういった結果になりました。
ソフト | QuickTimeへの依存度 |
---|---|
Premiere等Adobe製品 | ProRes読み書き機能 DNxHDの書き出し |
(AfterEffects) | アニメーション圧縮 |
Davinci Resolve | QuickTimeファイルの読み込みや書き出し |
EDIUS | QuickTimeファイルの読み込みや書き出し |
Vegas | QuickTimeファイルの読み込みや書き出し |
以上のようにProRes読み込みの他にも、Windows向けソフトのQuickTime依存の問題がありますが、やはり映像制作における中間コーデックの定番とも言えたProResがWindowsでサポートされなるのは衝撃なのです。
普段SHOGUNやBMPCCなどでProResで収録する割合も高く、収録から完パケまでProResでやっています!って方も多いはず(私です)。
さてさて、どうしましょう…。
ProResからの移行策として考えられるコーデック
ProResからの移行策として考えられるコーデックとしては次のものが挙げられます。
・DNxHD/DNxHR
- Avidとの連携を考えるのであれば、QuickTimeラッパーではなくMXFラッパーでのDNxHDコーデックを。
ただやはりQuickTimeが使えないとなるとなかなか…
・GoPro CineForm
- こちらはAdobe社からも対策として推奨されています。
こちらのGoPro Studioをインストールすることで扱えるようになります。
Mac OS X ユーザーがAdobe社のデジタルビデオアプリケーション以外で CineForm ファイルを再生するには、QuickTime 7 以降をインストールする必要があります。こちらから。
WinユーザーとはGoPro CineFormでやりとりをする
個人的には今後はGoPro CineFormでやり取りをする方向で考えるしかなさそうです。
Adobe社の公式見解でも
映像制作業務で広く利用されているProResについては、Windows環境でのQuickTimeに依存しないネイティブデコードには対応していません。現在、その対応を進めていますが、その対応時期は未定となっています。
QuickTime Windows版のサポート終了について | Adobe Creative Station
ということですので、この対応を待つというよりはProResからGoPro CineFormへの移行を考えたほうがいいでしょう。
とは言いつつも、ProResベースの収録環境からすぐには脱却できそうにもなく、
えいっとやればいいんですが、まだQuickTimeはアンインスコできてません…。
何かいい手段がありましたらお教えください。
カムラ
アールテクニカで映像技術担当。大阪の芸術大学で映像を学んだ後、社長に拾っていただきジョイン。社内では映像系のサービスやアプリ企画を作っています。